*** 不変色の畳表を使いました ***

 

 東部公民館第三和室の表替えをしました。表は現状と同質のものでやって下さい、との事でセキスイの美草表を使用しました。この表の特徴は変色しない所が一番のウリかと思います。しかし吸水力がないのがウイークポイントですが、不特定多数の方が使用するところには最適かと思います。船橋市の公民館の和室ではこの表が使用されてるのをあちらこちらで見受けます。もし一般の家庭で変色のしない表をご希望でしたらダイケンの健やか表が良いかと思います。材質は和紙ですので肌ざわりも良く吸水性も有ります。色はメーカーにより異なりますが青や黄金色など数種類から選択できます。

四方縁畳の完成です

  この畳は四方縁一畳台と言い、お寺のお坊さんがお経を唱えたりする時に座る畳です。これは東京の畳屋さんが、作れる人を探していると、材料問屋から持ち込まれた仕事でした。このような特殊な畳を作れる畳職人が少なくなったのは時代の流れでしょうか。この仕事をするのに大事な事は縁の紋を隅々まで丸く表現するのが命で、1分でも欠けてはいけない物とされています。正式には畳二枚重ねた二畳台ですが手間と単価が高くなります。本当に根気が入る仕事です。

左にあるのは畳針です。左端の針は、昔手作りの畳床を作って居た頃の専用の針です。その名も床針と言い、今では二畳台を作る時に使います。床針の長さは7寸ほどあります。右端の曲がった針はクセ針と言い特殊作業の時使いますが、大工さんの槍鉋や丁斧などと同じで必要とされる仕事が無くなり、畳職人の消え去りし道具のひとつです。

 

 

縁無し畳

縁なし畳を作るのに今では機械で作れるようになりましたが、機械で縁なし操作ができる前は手作業でやつていました。縁付きの新畳も同様で厚み調整をするのに裏に藁を縫い付けていくのですが、縫うときに左指で藁をねじりながら右手で縫う作業をしているうちに、食事などでも左右どちらの手でも箸が使えるようになりました。三味線をしている知り合いは演奏で糸をはじく時に左薬指を使うので腱鞘炎になったそうですが、その方と同じように薬指か使えるので驚いていました。

暇つぶしも大変です

 時間が出来たので花瓶敷きを作りました。約20cm位の大きさですが、四角いのは隅の柄(紋)合わせに気を使いました。丸紋を出来るだけ、四方丸く出すには花瓶敷きと言えども油断出来ないものが有ります。円形の花瓶敷きは紋合わせも気を使いますが、その他に計算をしなければなりません。数学が嫌いで進学をしなかった私としては、円周率の3.14159の数字が頭に入るか心配でしたが仕事になるとすぐに覚えられたので、数字嫌いも食わず嫌いと同じかと思いました。その他にも畳屋さんは寸法を取るのにサンシゴやシイチ法といったピタゴラスの定理を応用したものや、割本、大阪本といった寸法の取り方がありますが、私は大阪本だけはどのようにとるのか不明です。関西特定の取り方なのでしょうか?

産地表示証紙の確認を

 

     右の写真のように国産の熊本表には10枚に2枚くらいで、県の証紙が貼られています。また、表の織り目の中には産地と生産者の名前が書かれたタグが織り込まれています。タグは生産者により全部入れる人と数枚に1枚しか入れない人と様々です。畳屋さんの中には中国産の表を国産と言って納める店もあるように聞きますが、当店は仕上がって納める時に国産の証紙をお客様に表示するように努めています。

表替とは・裏返とは

 畳は表替えをしたら次は裏返しが出来るようになっています。ただし表の痛みが激しかったり、シミがあったり、穴が開いたりすると裏返しが出来ない場合が有ります。シミの付いた所を荷物の下と取り換えて裏返す事も出来ます。また、穴の開いた畳表は一センチ前後の穴でしたら畳屋さんの技術で穴を消滅させることも可能です。しかし、それも手間のかかる事なので一個か二個位まで昔からサービスで行って来ました。また、表替えをして次に裏返すのはいつ頃かと聞かれる事が有ります。安い表程打ち込みが無いので早めに(3~4年位)裏返し、高い値段の表は高い程打ち込みも強いので長く持たせることも可能です。だったら打ち込みの有るのと無いのでは何処が違うのかと思う人もいると思います。打ち込みが無いと日差しが裏まで通り、打ち込みが強いと日差しが通しにくいので裏返しした時に青みが有るのか、赤みが出るのかの違いなのです。裏返ししても裏返しする前と同じではお金をかける価値は無い物と思います。高い麻引き表をお使いのお客様の中には十年位で裏返ししたのに綺麗になったと満足される方もおられます。一度裏返しをすれば後は擦り切れるまでお使いになられてもよろしいかと存じます。

                                                                                   店主の一人ごと

 当店は、ご自宅にお使いになる畳表は、予算が許す限り出来るだけ国産の表をお勧めしています。今、国産の表は産地の証紙等が貼られていますので、仕事をして畳を納めるときに、お客様に産地表示が見えるように努力しています。証紙または、生産者の名前の書いたタグ等で国産表を確認して頂きたいと思います。証紙やタグの付いていない表は安い中国表が多いようです。お客様に確実な材料を長い経験と実績でお届けするをモットーに努めています。以前仕事をしたお客様の畳にはゴム印らしき物で『国産表』と書いたスタンプが押してありましたが産地名はどこにも有りませんでした。